2011年までに、元暴力団組員や元会社社長など3人が亡くなった事件の首謀者とみられる、兵庫県姫路市にあるパチンコ運営会社の実質経営者だった中村春根こと陳春根と、実行役とみられる上村隆が逮捕された。その後、2014年までに事件に関与したとして他に14人が逮捕されている。
陳春根とその父親は、姫路で大きな力を持つ企業グループを率いており、パチンコやスロットの店舗を運営していた。事件の背景には、父親が暴力団とトラブルになった末に殺されたことへの報復や、元会社社長に大金を貸したが返ってこなかったことなどがあるとみられている。
陳春根は2009~2011年、実行役の上村隆と共謀して元暴力団組員や元会社社長を監禁するなどした後に殺害したり、別の元暴力団組員を監禁して死亡させたりと、12の事件・19の罪に問われ、そのうち7つの事件・11の罪が裁判員裁判で審理された。
1審は起訴から初公判まで6年以上かかり、公判前整理手続きが72回も行われ、裁判員の候補となった約500人のうち約420人が辞退し、延べ120人以上の証人が出廷し、公判回数70回、初公判から判決まで207日と当時過去最高の審理期間となり、かなり大掛かりな裁判員裁判となった。
首謀者とみられた陳春根は、2018年11月の1審判決で無期懲役となり、2021年01月の2審判決でも無期懲役、2022年10月の最高裁で上告が棄却され、無期懲役が確定した。
実行役とみられた上村隆は、2019年03月の1審判決で死刑となり、2021年05月の2審判決でも死刑、2023年07月の最高裁で上告が棄却され、死刑が確定した。
陳と上村の裁判は別々に行われ、1審の裁判員裁判で証拠採用などに差があり、亡くなった3人のうち2人の遺体が見つかっていないこともあって、犯行を指示した首謀者の陳は亡くなった3人の事件のうち、1人について証拠不十分として無罪となり無期懲役だが、実行役の上村は亡くなった3人の事件の全てで殺害が認定されて死刑になるという、首謀者よりも実行役の方が罪が重いねじれ判決が起きている。続きを読む