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大阪刑務所で服役している、六代目山口組若中を務める淡海一家の高山誠賢総長が、刑務所内で治療を受けた受刑者のカルテなどの診療情報の開示を本人にも認めていないのは不当だとして、大阪地裁に訴訟を起こしていたことが分かった。

高山総長は2010年に同和団体会長を恐喝したとして逮捕され、2015年に懲役8年が確定。病気の容体が重篤なため収監が見送られていたが、2017年02月に虚偽の診断書で収監逃れをしていた疑惑が浮上。その後すぐに出頭し、大阪刑務所に収監されていた。

2020年の一審判決では訴えが退けられたが、2021年04月の二審判決で裁判長は「受刑者に診療情報を開示しないのは不平等」だと述べ、受刑者本人には原則として開示すべきだと判断し、高山総長の訴えが認められた。


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「診療記録の開示拒まれた」受刑者が国を提訴 大阪地裁
2019年12月18日 15時00分

(朝日新聞) https://www.asahi.com/articles/ASMDK3TQNMDKPTIL00D.html

受刑者のカルテ不開示取り消し 組長の請求認める―大阪高裁
2021年04月08日18時04分

(時事通信) https://www.jiji.com/jc/article?k=2021040801078

“診療情報は受刑者本人にも開示すべき”初判断 大阪高裁
2021年04月08日 20時06分

(NHK) https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20210408/2000043698.html



このニュースのまとめ

  • 2019年、大阪刑務所で服役している、六代目山口組若中を務める淡海一家の高山誠賢(高山義友希)総長(64)は、大阪刑務所で受けた治療のカルテなどの診療情報の開示請求を拒まれたのは不当だとして、国を相手に不開示処分の取り消しを求め、医療情報を請求する訴えを大阪地裁に起こした。
  • 高山総長は四代目会津小鉄会会長の実子で、実業家として活躍した後、2003年に五代目山口組『弘道会』に加入し、2009年に六代目山口組の直参に昇格。2010年に同和団体会長を恐喝したとして逮捕され、2015年に懲役8年が確定。病気の容体が重篤なため収監が見送られていたが、2017年02月に虚偽の診断書で収監逃れをしていた疑惑が浮上。その後すぐに出頭し、大阪刑務所に収監されていた。
  • 高山総長は2014年に腎臓移植手術を受けていて、医師によると「BKウイルス腎炎やウイルス性腎炎を患っており、腎炎発症や感染症の危険があり、医療態勢が乏しい収容施設での生活は難しい」などとしていて、高山総長の収監が一時見送られていた。
  • 刑務所の医師は腎臓の専門医ではく、2019年04月に高山総長は外部の医師の診察を受けるため、受刑中に刑務所内で受けた血液検査の結果、処方薬の詳細、診療記録などを開示請求した。しかし刑務所側は『刑の執行に関する個人情報は開示請求の適用外』とする個人情報保護法を理由に不開示とし、カルテは高山総長には公開されなかった。
  • 大阪刑務所を管轄する大阪矯正管区では、刑務所内にある医療施設で治療を受けた受刑者のカルテなどの診療情報は、法律で開示できない『刑の執行に関する情報』に含まれるとして扱われており、本人が開示を求めても認めない運用が行われているという。
  • 国連の規則では、受刑者が自己の医療情報にアクセスする権利が保障されることは最低基準とされており、不開示処分は違法だとする一方、国連の答弁書では、処遇に関する個人情報を開示対象とすると、収容歴の有無などが他人に明らかになり、更生保護を図る上で受刑者が不利益になるおそれがあるなどとしている。
  • 高山総長は今回はそうした弊害は生じないと主張しているが、国連の規則では、国際慣習法として確立しておらず、日本国内で法的拘束力はないとしている。
  • 2020年、一審の大阪地裁は高山総長の診療情報開示請求について、裁判長は「服役中の医療情報は刑の執行に関わる個人情報に当たり、開示の必要は無い」として、高山総長の請求を棄却する判決を下した。
  • 2021年04月08日、二審の大阪高裁は高山総長の診療情報開示請求について、裁判長は請求を棄却した一審の大阪地裁の判決を見直し、国の不開示決定を取り消す判決を下した。
  • 裁判長は「医療現場では、患者本人に診療情報を開示する必要性や重要性は浸透している。受刑者だけ認めなければ一般国民との間で合理的に説明しにくい不平等が生じる。診療情報は生命と健康に直結する個人情報であり、合理的な理由なしに制限されるべきではない」などと述べ、治療を受けた受刑者本人には原則として診療情報を開示するべきだと判断した。
  • 大阪矯正管区は「判決内容を精査し、関係機関と協議した上で適切な対応を考えたい」などとコメントしている。



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